人生の一大イベントであり、祝福され、素晴らしいものとなる結婚。
・・・だったらさぞや愛に満ちた格言ばかりのはず!と思いきや、結婚についての格言は、痛烈な後悔や皮肉めいたものも多いのです。歴史に名を遺す文豪や哲学者、政治家、果ては映画俳優にいたるまで、枚挙にいとまがありません。
なぜ結婚の名言・格言は後悔や皮肉が多いのか
結婚は素晴らしいものであっても、必ずしもメリットばかりではありません。特に結婚に対するイメージは、男女差が大きい。華やかなウェディングドレス、結婚式に披露宴、ハネムーンといったキラキラしたイメージを女性は持ちがちですが、男性はそうとも限りません。
まず何より経済力が求められます。上記の結婚関連のイベントだけでもかなりの出費になりますし、実際の夫婦生活が始まれば、2人で生活できる住居、さらに子供ができたらなお広い住まいが必要となり、出産・子育てもするなら、子供の養育費・教育費もかかります。共働きが普通となった今でも、相応の稼ぎがなくては回りません。今までは自由にお金を使っていた男性でも、節約に励むケースもあるでしょう。
もちろんお金だけにとどまらず、自分一人で好きに使える時間も減ります。さすがに家族ができたら、独身時代と同様に趣味や遊びに時間を使うわけには行きません。そして、どんなに好きになったパートナーでも、喧嘩や軋轢が皆無というのはあり得ないですし、親戚付き合いも上手くこなさなくてはなりません。さらに1/3の確率で失敗(離婚)し、慰謝料や養育費の支払いも待っている。こんな記事もあるように、結婚とは必ずしもメリットばかりではないのです。
独りでも楽しめることが増え、周囲からのプレッシャーもなくなってきた現代では、特に独身を存分に謳歌した男性にとって、結婚とはかなり覚悟がいる決断といえるでしょう。それは婚姻率も伸び悩みますね…。
目を覚ましてくれる結婚の名言・格言
それでは、結婚にあたってあれこれ思案する男性の皆さんに、賢人たちの言葉を贈ります。これでハッとなるなら、もう少し熟考した方が良いかもしれませんよ。
結婚とは、熱病とは逆に、発熱で始まり悪寒で終わる。
(リヒテンベルグ)
多くの結婚生活はダンテの神曲と逆である。天国に始まって煉獄に移り、地獄に終わる。
(ピヒラー)
三週間互いに研究しあい、 三ヶ月間愛し合い、 三年間喧嘩をし、 三十年間我慢しあう。 そして子供達が同じことをまた始める。
(テーヌ)
結婚生活の意は雨のようなものだ。 初めに人はこう言う。「一体、いつ降り始めたのだろうか?」 二度目の雨でこう言う。「もう雨はたくさんだ」 そして三度目の雨でこう言う。「もう、本当に飽き飽きした」
(ピグミー族の諺)
一窯のパンを焼き損ねれば一週間、収穫が悪ければ一年間、不幸な結婚をすれば一生を棒に振る。
(エストニアの諺)
ウェディングケーキはこの世で最も危険な食べ物である。
(アメリカの諺)
結婚するとは、彼の権利を半分にして、義務を二倍にすることである。
(ショウペンハウエル)
もし人生をやり直すのだったら、私は結婚しないでしょう。
(チェーホフ)
結婚生活をいくらでも褒めたたえて良い。しかし自分自信は独身でいたまえ。
(フィールディング)
結婚は、ほとんどすべての人が歓迎する悪である。
(メナンドロス)
神が同棲を発明した。悪魔は結婚を発明した。
(フランシス・ピカビア)
結婚は、多くの短い愚行を終わらせる。一つの長い愚鈍として。
(ニーチェ)
「人生最良の時は結婚式の日だった」「最悪の時は?」「それ以後の毎日」
(映画シティ・スリッカーズ)
いやー、さんざんですね(笑)
しかし、結婚には良い面ばかりではないということが、よくわかると思います。
結婚に際しての迷い、躊躇についての名言・格言
実際に結婚を意識するなら、様々な考えが頭をよぎります。祝福されるイベントとはいえ、本当にその選択が正しいか、迷うこともあるでしょう。そんな時はこちら…
四ヶ月の交際が一生を保証するだろうか?
(ルソー)
人は無我夢中に急いで結婚するから一生悔いることになる。
(モリエール)
「結婚を考えたことはないのか」 「あるさ、でも考えるのとするのは違う」
(夕日の挽歌)
男にとっても、結婚はしばしば一つの危機である。 その証拠に、多くの男性精神病患者は婚約期間中、 もしくは結婚生活の初期に生まれる。
(ボーヴォワール)
人は急いで結婚し、暇になってから後悔する。
(ウィリアム・コングリーヴ)
たしかに結婚にタイミングは大切ですが、あまり急いで決断するのは考えものです。
結婚は一大イベントとなるため、スケジュールの調整も必要ですし、お互いの親戚や上司、式場のブライダル関係者など、様々な人が関わってきます。ともすると、その一連の流れや雰囲気に流されて、いわば結婚モードに入ってしまう人も多いのです。
しかし、話が結構進んで、「やっぱり止めよう」と言うのは、なかなか大変なのが結婚です。本当に結婚したい相手なのか、夫婦としてやっていけるかは、しっかりと見極める必要があるでしょう。
結婚生活への倦怠についての名言・格言
さて、無事に挙式し、夫婦となりました。女性は特に結婚自体をゴールと考えがちですが、そうではありません。そこからが本当のスタートです。
恋愛中はどんなに燃え上がったパートナーでも、ずっと一緒にいれば徐々に嫌なところも見えてきますし、生活も習慣化して、いわゆるマンネリも訪れます。そして、残念ながら特に男性は他の女性にも目が行ってしまう生き物でもあります。そんな時に胸に突き刺さる格言は…
恋は人を盲目にするが、結婚は視力を戻してくれる。
(リヒテンベルグ)
結婚はデザートよりスープが美味しいコース料理である。
(オーマリー)
結婚とは、ただ一人のために残りの人々をすべて断念せねばならぬ行為である。
(ムーア)
妻を選ぶのはネクタイを買うのとよく似ている。 選んだ時は素敵に見えるが、家に帰って首に締めてみるとがっかりする。
(ジョイ・アダムス)
結婚する時、私は女房を食べてしまいたいほど可愛いと思った。 今考えると、あの時食べておけばよかった。
(アーサー・ゴッドフリー)
結婚とはセルフサービスの食事のようなものだ。 自分の欲しい料理を選んだ後で、隣の人たちの皿の中身を見る。そして、どうして自分は彼らと同じ物を選ばなかったのだろうと自問するのである。
(J・ドラークル)
結婚は鳥カゴのようなものだ。 カゴの外の鳥はエサ箱をついばみたくて中へ入りたがり、 カゴの中の鳥は空を飛びたくて外へ出たがる。
(モンテーニュ)
結婚なんてつまらない。 死ぬまで夫婦の約束を守らなくちゃならないんだもの。 そんな馬鹿げた約束を誰ができて?明日どんな風が吹くか、神様だってご存知ないわ。
(ミア・ファロー)
夫が妻にとって大事なのは、ただ夫が留守の時だけである。
(ドストエフスキー)
結婚はすばらしいことだが、結婚生活という習慣をつけたことは誤りだと思う。
(モーム)
男性が結婚生活に飽きていくイメージがありますが、フランクシナトラと結婚した有名女優ミア・ファローのように女性でも結婚を嫌う人もいます。ドストエフスキーは恐妻家だったんですかね(笑)
夫婦関係の難しさについての名言・格言
さらに月日が経てば、様々なことが見えてきます。ずっと夫婦でいるのは素敵なことかもしれませんが、関係を継続するのはなかなか大変なのです…
結婚したらいろいろ分かってきますよ。今までは半分謎だったことが。
(モーツァルト)
結婚前には両目を大きく開いて見よ。結婚してからは片目を閉じよ。
(フラー)
結婚生活で一番大切なものは忍耐である。
(チェーホフ)
あらゆる人智の中で結婚に関する知識が一番遅れている。
(バルザック)
結婚――いかなる羅針盤もかつて航路を発見したことのない荒海。
(ハイネ)
夫婦間の会話は、外科手術のように慎重に取りかからなければなりません。 ある種の夫婦は正直なあまり、健康な愛情にまで手術を施し、 そのために死んでしまうようなことになるのです。
(モロア)
ずいぶん敵を持ったけど、 妻よ、お前のような奴ははじめてだ。
(バイロン)
一度結婚してしまうと、善良であること以外には何事も、 そう、自殺でさえも残されていない。
(R・L・スティーブンソン)
結婚というのは宝くじのようなものだ。 ただし当たらなかったからってその券を破り捨てるわけにはいかない。
(F.M.ノールズ)
結婚をしばしば宝くじにたとえるが、それは誤りだ。 宝くじなら当たることもあるのだから。
(バーナード・ショウ)
結婚前はお互いを良く見せようとするものですが、結婚してもそうし続けるのは無理なこと。月日とともに、パートナーの本来の姿もより鮮明に見えてきます。それが良いものであれば素晴らしいのですが、悪い側面が出てくることも往々にしてあります。
しかし、悪いからといってあっさりと止めるわけにもいかないのが結婚。チェーホフが言うように、忍耐三昧の日々となれば、これは相当なストレスでしょう。あの「ジギルとハイド」の著者であるスティーブンソンにして、死にたくなるほどなのですから。結婚は全てハズレくじだと嘆く格言があるのもわかります。
男女の結婚観の違いを表した名言・格言
冒頭でも書きましたが、結婚観については男女で大きな差があります。生活を共にすれば、お互いに対して「どうしてこうしてくれないんだ」と腹が立ったり、悲しくなったりすることも増えるでしょう。男女の価値観の違いは、多くの局面で感じるものですが、結婚することでより強く意識されるようになります。
男は結婚する時、女が変わらないことを望む。女は結婚する時、男が変わることを望む。
お互いに失望することは不可避だ。
(アインシュタイン)
男は疲れたからといって結婚し、女は好奇心に駆られて結婚する。そして、両方とも失敗する。
(オスカー・ワイルド)
女には、どうしてもわからないテーマが一つある。 男は仕事に注ぐだけの熱情をなぜ家庭に注げないのか、ということだ。
(D・デックス)
できるだけ早く結婚することは女のビジネスであり、 できるだけ結婚しないでいることは男のビジネスである。
(バーナード・ショー)
女性が結婚するのには大きな理由がある。 男性が結婚する理由は一つもない。 群棲欲が彼らを結婚させるだけのことである。
(モンテルラン)
男はみんな賭博師だ。でなきゃ結婚なんてしやしない。
(フレデリック・リット)
夫が妻にとって大事なのは、ただ夫が留守の時だけである。
(ドストエフスキー)
夫婦が長続きする秘訣だって? それは、一緒にいる時間をなるべく少なくすることさ。
(ポール・ニューマン)
女はみんな結婚するほうがいい、 男は一人も結婚しない方がいい。
(ディズレーリ)
いつの時代でも男女は完全に理解し合えないものですが、情熱的で示唆に富んだ格言を多く残したイギリス首相にまで「男は結婚しない方がいい」と言わせるとは、いかに結婚生活を持続させるのが難しいものか、よく分かるのではないでしょうか。ちなみにディズレーリは「公的な生活でどんなに成功しても、家庭での失敗を補うことはできない」という格言も残しています(笑)
最終的には離婚しかない?…の名言・格言
様々な努力をし、結婚生活を維持させようとしても、どうしても上手く行かないこともあります。事実、結婚したカップルの1/3は離婚するわけですから。
あれだけ愛し合っていたのになぜ…という想いもあるかもしれませんが、修復不可能な関係になってしまった場合は、やはり別れるという選択を採るしかないでしょう。そんな時は…
結婚へは歩け。離婚へは走れ。
(ユダヤの格言)
離婚は進んだ文明にとって必要である。
(モンテスキュー)
現代では一回では上手く結婚できることは決してない。 やり直す必要がある。
(アルフレッド・カピュ)
離婚は事実において結婚の破壊ではない。 むしろ、結婚を維持する第一条件である。
(バーナード・ショー)
人間は判断力の欠如によって結婚し、 忍耐力の欠如によって離婚し、 記憶力の欠如によって再婚する。
(アルマン・サラクルー)
よく耳にするかもしれませんが、離婚は結婚よりも多くのパワーを消費します。これは本当です。私もそうでした(苦笑)
実際、離婚の決断はできても、なかなか動き出すのが大変です。離婚を決意する以上、相手への感情は冷めていても、様々な手続きで戸惑う人が多いのです。離婚届を出すだけで完了するなら良いですが、子供がいたらそうもいきません。親族への体裁で悩む方もいるでしょう。そして、養育費はどうする?自分に過失があれば慰謝料はいくら?会社の保険の手続きは?二人の名義で住宅ローンを組んでいたらどうしたらいい?…等々、色々なことに対処していかなくてはなりません。最悪、裁判になるかもしれませんしね。
しかし、やはり関係の修復が不可能で離婚をすると決めたのなら、その手続きを着々と、そしてできる限り迅速に進めなくてはなりません。様々な葛藤があっても、お互いの貴重な時間を無駄にしてはいけないのですから。
離婚を経験すると、「もう結婚はこりごり」と誰もが思います。しかし、サラクルーが言うように、時が経つと再婚したりもするんですよね。人は愚かなものです。私も人のことは言えませんが(泣)
できることなら幸せな結婚を
いかがでしたか?
もちろん、述べてきたような痛烈な後悔や皮肉めいた結婚観を持たなくても構いません。というか、できることならそうならないのが一番です。
逆にこれら格言を読んで、うんうんと頷いてしまったあなた!
落ち込むことはありません!偉人達もみんなそうだったのですよ。悲観せず前を向いていきましょう。
「いや、結婚は素晴らしいよ」と言えるあなた!
あなたはとても幸せ者です。人間とはなかなか理解し合えないものですが、あなたはかけがえのない伴侶を見つけている稀有な方です。素敵なパートナーに心の底から感謝しましょう!